レトルトカレー博物館


 日本のレトルト食品文化は世界にも例を見ないほどの隆盛を誇っている。技術的に高水準にあるだけでなく、冷凍食品なども合わせればあらゆるジャンルを網羅する商品が揃っていて、日々進化し続けているのだ。
そんなレトルト業界の中でも特にアイドル的存在なのがレトルトカレー。現在販売されているレトルトカレーはそのタイプがいくつかに大別される。

1.食品メーカーもの
ハウス食品やS&B;食品に代表される大手企業を筆頭に中小企業も積極的にレトルトカレーの商品開発に取り組んでいる。商品ラインナップも多いところでは常時20品目ほどを取り揃え、シーズンごとにマイナーチェンジや新商品の開発販売を繰り返している。各社しのぎを削る争いは今後もとどまることなく続くだろう。

2.ご当地もの
バリエーション豊かな味を表現できるカレーの特性をいかして、全国各地で名産品を具に取り入れたオリジナル商品の開発が行われており、そのパッケージには、地域の特性をいかした様々な顔が見られて楽しめる。地域限定で販売される希少性が特徴のひとつである。

3.専門店・シェフもの
近年、カレー専門店の人気メニューや有名シェフのオリジナルカレーをレトルト商品にして販売する形が増えてきた。この他にホテルのカレーや料理研究家のカレーなどもある。これらの商品は世の中の需要に呼応する形で登場するケースが多い。

4.企画もの
 カレーの国民的人気にあやかって、キャラクターやサービスなどのプロモーション的役割でレトルトカレーが作られることもしばしば。この場合、味に拘るというよりもいかにそのパッケージデザインにPR効果を持たせるかに焦点がおかれるため、ユニークな商品が多いのが特徴である。

5.その他のもの
 タイカレーなどを中心とした海外からの輸入ものや、幼児用、保存食用などの実用的な商品、宇宙食、自然食など個性のある商品開発などによって、様々なレトルトカレーが実際に販売されている。

 おそらく現行商品を日本全国くまなく探せば、少なくとも最低700~800タイトルのレトルトカレーが現行商品として存在するのではないだろうか。出ては消えと息が短く打ち上げ花火的な性格も否めない市場だが、全体としての規模は拡大していると言える。なにより消費者を飽きさせないバラエティの豊かさが最大の魅力。日本のレトルトカレーの動向を追い続けることは、日本のカレー文化の奥深さやポテンシャルを再確認するのに適しているのかもしれない。レトルトカレーは今や日本が世界に誇れる食文化になったと言えるだろう。


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